NO.101



スクリーンに屹立した棘が息づかいで発光している
言葉は列車となり貫通する血肉の轟音を糧とし
首筋と胸元に蒔かれる斑点はヤマアラシのジレンマ
屋上の金網でこぼれた白シャツは千切れ飛んだ

喫茶店夫婦には12年の琥珀が満遍なく住み着いている
それこそ規則正しく勇敢にバトンタッチされる役割をして
額縁の裏側に眠る陽に灼けた少女は畦道を駆け出した
舌の垂れた玩具のエビフライと苺色のナイフが残される

反復する微笑は右側に空洞を刻みつけ滴るL.H.O.O.Q.
増殖と解体の裂け目からぬらりと海豚肉がせり上がる
魚屋親爺の慇懃な呟きが冷凍パックに陳列されるたび
赤い部屋でペンキまみれの女が鱗の煌めきを濃くしていく

ゼラチン質の体は鳴り響く音叉の数だけ照り輝く夢の浮舟
毎朝毎晩髭を剃ってはテトラポットの安らぎを奏でている
ハレの余韻に変容する鍵穴からこぼれゆく星の砂をせなに
暗幕に浮かぶ花弁の震撼する汗ばんだ指先だけが

なかんずくであるからしてだがそれさえもスクラッチ
2℃も違う入口から高みへと同じ体温を重ねるために
100枚の色とりどりの布を縫い合わせホツレを繕い
声をたて目を見開いて信じあえるまで洗濯をしつづける

潮風にかき消えていく微笑みの奥の奥の奥の奥の
そのまた奥の奥の奥の奥の奥の奥の奥の奥の奥の奥の
奥を奥を奥を奥を奥を奥を奥を奥を奥を
深く 洗う

MASOO IIMURA 7.20 - 1:42 10.2.2000


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