う た


今、ここにいること。
人と人がいて笑っていること。
円く滑らかなもの達へ
この眼差しが溶けてゆく。
にせものは
いつか 本物になるかな。
あの時の 沸き立つような。
当たり前のことを当たり前に。
それこそが かけがえのないもので。
空気みたいに 水みたいに
覚えているよ。
16:38 980318


地上のこと

   
塔のてっぺんで 雲は動かない
今も 同じ夢を見ている
離れたなら 知るのだろうか
掴み取れないから 胸の奥で
つかえた 異物としての この
右脳が 繰り返しくりかえし
電線を伝う 震動でさえ
すっぱい苦みに 哀しみが
吐き出している 羅列として
確かめたい どこまでも一緒だと
ナクナル マエ ニ コワセ
透過された 私のカラダ
震えてもやらない ナミダ流さない
立ちすくむ 幻聴で
叫びだす 血だまりで
この胸のふくらみにも 風があたる
一人でいられない その隙間に
私 一人でいる 一人 いる

15:27 980217-16:50 980318

つぶやき たい

   
何も考えてない よ
空を見上げて ポーズを取った
紅い髪が 生き物みたいに
産まれゆく もの達
金網に 手を
花壇に 水をやって
太陽は 痛い
変換される電子音
魚眼レンズ が 好き
夜は うずくまって寝る
人肌は 気持ち悪い
切っ先の鈍った 刃物になる
分かってほしくない
分からせ たい
懐に入り込んだ 捨ててやる
ぬいぐるみに 埋もれる
逃げたく ない
逃げたい のは
拡散してゆく
手のひらを 噛んでみた
無意味な 彷徨
体温が 足りない
湧きおこってくる もの達
涸れた のに 疼く
助けて 助けて 助けて
誰も かれも 憎い
忘れた それでも歩く
階段から 落ちる
痛く ない
笑いが こみ上げた
明日 は

9802




抱き合ってしまったら
   離れられなくなるだろう
細胞の 一つ一つが
    悲鳴を 上げる
濡れたまま
   立ちすくめばいい
   そう
 血が流れている

9803-16:14 980318


約束の日

   
海に行こう
寒い誰もいない海

きっと楽しい
季節外れの忘れ物

この貝は生きてるのかな
砂を飲んでるみたい

黄色いビニールプール
目印にしてね

波間に揺れる
くるくる廻ったり

どこにでも行ける自由
そこに行けない不自由

隣り合わせの暗雲に
切り取られそうで

どこにでも行ける自由
そこに行けない不自由

近づいてくる

近づいてくる

水しぶきの優しい音
立ち泳ぎ上手いね

頬と頬を寄せた
じっと漂う約束の日


20:51 980216



「そこらにひょこっと転がっているような。パラパラとめくると微かに
匂いがして。そういうものを欲しがってしまって。」(あとがきより)


98年3月18日にさくっと作った小冊子の作品を、ネット再録してみました。



雫箱くらげカフェ


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