MMM Special


97年10月5日に公開した真朱の実験的雫集Mannish "M" Manipulator
に関して、色々なご感想を頂戴いたし、有り難うございました。
その中から、読者さまのご感想の一部をご紹介させていただきます。
ご感想に対する真朱の反応は、それぞれの方々に差し上げたもの
なので、あえてここには掲載しないことにしました。


10月6日 一本指さまより

「M」に寄せて

真朱 さま へ

「Mannish "M" Manipulator」を読ませて頂きました。

拳を石壁に打ち付け続ける、
その音が痛みに混じり朦朧と響いてくるような、
そんな、アンバランスな足取り。

詩行の一行一行が切取られ、
皮膚一枚でぶら下がっている、
そんな危うい叫びを感じます。

しばし、伴走する風をなぞり、
駆け抜けてきた彼方に、
目を凝らし続けました。

もう、空を跳べるんじゃないですか?
もう、雲の頂きを、
その透明な翼で撫でる事ができると思いますよ。

                   不束ながら/一本指 拝

(当時のboard 言の葉ひとひら142番より転載。)

10月7日 じゃすみさまより:

Re:実験。

> 模索してますね。常に。何が出来るだろう。思考回路なんかも
> もうちょっとどうにかならないものかと思っています。(注:←真朱wrote)

.ある意味で、「解き放つ」というのも手かもね。 <思考回路
というよりも「解き放て!」という言葉を、送り(贈り)たい。

(当時のboard 言の葉ひとひら143番より転載。)

10月10日 一本指さまより:
「Mannish "M" Manipulator」も拝見致しましたが、 なんだか、何かに脅えていらっしゃる、 そんな雰囲気を感じました。

しっくりこない、とおっしゃるのが、 その脅えなのかもしれませんけれど、 描かれた物に対して、決してそんな事はなくて、 羽根ひらくだけの空の下で、 縮こまっていらっしゃるような、 そういう緊張を感じるんです。

カタチにならないとしても、 もっと自由でのびのびとした物を、 書かれていいように思います。

といいますか、 今の飯村さまならば、 創作でも感想でも堂々と書かれるだけの、 強い翼をお持ちだと思います。

そして、今迄の浮遊であっても、 これから書かれるであろう鼓動であっても、 舞い降りて、舞い上がる弧の中で、 何度でも書く事を試される事が、 許されてある様に思います。

ただ、今は、 飯村さまの鼓動も、 軽やかに雲を超えて羽撃かれる事を、 切にお祈りし、 作品として拝見できる日を楽しみにしてお待ちしております。


10月24日 Hiroさまより:
まず、アクセスしてすぐ飛び込んできた鮮烈な、しかし何処か陰を 帯びたような赤色がとてつもなく印象的で、わけもなく焦燥感を掻 き立てられました(闘牛の牛みたい<笑>).そして「青白い胎動」の一 節に、一瞬脳裏に錯綜する冴え渡るような冽たい蒼と、ぬるく溢れ かえる血溜まりのイメージ。Manipulatorという言葉から多分に人工 的な印象を受けていたので、無機質な蒼と肉質的な赤のイメージの は一種嘔吐感にちかい蟻走感をもよおさせ、それが焦燥を助長して ──どうも、それが尾を引いて、最後まで赤と蒼のコントラルに 支配されたままでした。

「、みたいな」──自己欺瞞に囚われた即物的なやさしさが鼻につ く彼女に対して、何処か冷めた彼の提示するやさしさは冷徹なまで にエモーショナルで、でも冷徹に過ぎるが故に彼もまた即物的束縛 から逃れ得ない、そんな暗渠めいたアイロニーを感じたのが第一印 象。読み直せば、全く180度裏返った彼もイメージされるのですけど ね。それによって、真夜中の踏切の警告灯の不気味なイメージと、 静寂を打ち破る悲しげな汽笛のイメージが入れ替わります。

「紫の爪先」──惚れた男の弱みを感じますねー、単純に。「啖呵 きってる首筋の息づかいに」って、わあ、何だかとても艶めかしい<笑>. 同時に、夜に生きながらも自分を無くさない彼女の強さ,したたか さも感じます。そんなしっかりとした自分を持っている彼女、何と なく真朱さんをオーヴァーラップさせてみたりして。最後の「ちく しょ〜〜!!」に、泣き笑いの体の彼(真朱さん自身)が見て取れる 気がしましたよ。あと、第一印象で、紫と赤の対比に何となく息苦 しさを感じたのは、最初のイメージが尾を引いていた所為でしょう か。

「くさ び」──言葉にするのがとても難しいです。イメージの断 片が散乱していて、それらひとつ一つをどうにもつなぎ合わせられ ないんです。愛しさ故に狂気に堕ちてゆく愛憎、現実からの奇妙な 疎外感と鮮烈なまでのまどろみとの違和感、満たされない想い,血 の涙,愛しさ,血の楔,憎しみ、のどかな空の水色、鉄錆びた血の 味をした“やさしさ”という名の氷の凶器、とめどない恐怖感,全 てが終わった後の悲しみ、本当は傷つけたのではなく自身が傷つい て、それでも生きて──うーん、ホント断片的に過ぎますね・・・。 でも、そんな脳細胞を切り裂くイメージのカオス状態に沈むのが心 地よくもあります。ぶくぶく・・・。

「胎児型」──原初の記憶にまどろむ姿が心地良いです。それは血 の味に満ちたやわらかで安らかな夢。本当に安心できた時、人は刹 那の永遠の中でそんな泡沫の夢を見るのかもしれません。あるいは、 真の姿に回帰できるのでしょうか。羊水の夢にひたる完全なる存在 と世界にたった一人で立たされた不完全なる自分──そんな彼にと って母なる彼女を求めるのは、全能なる存在への回帰?それとも、 共有する原初の記憶の奪回?

「吐息の腑臭の昇華」──自分も含めた現実を、吐き気をもよおす 程シュールに描いていると感じました。特に「鏡に歪んで映る 戦 慄の群れ」の一節には、本当に背筋をひやっとさせられます。ここ 迄あからさまに、何故、どうして、描写する必要があるのか、と叫 び出したくなるような、そんな憤りと哀しみ。快楽という名の夢だ けを喰い潰す、自身も彼女も。それに気付かず笑っていられる事、 それは最も罪でありもっとも辛い罰である、そんな気がします。ど んなに無邪気に笑えても、人間は永遠に自己欺瞞の虜囚なのでしょ うか。だとしたら、とても哀しい事ですよね。

「宇宙の」──そして、全ての孤独と全ての柵,全ての嘘を脱ぎ捨 てて、今こそはばたく時。蒼穹へ、弧穹へ、その高みへ。肉体と精 神の縛鎖を解き放ち、宇宙を航くスターシード。見上げるものも見 下ろすものもなく、ただ自が翼だけを頼りに。此の翼は、君をつれ ていけるほど強く羽ばたけるだろうか。

飛べますよ、真朱さん。青空はすぐそこに広がっているのですから。 (中略)

全体的な印象としては、かなり重いものを感じるのですが、でも芯 の強さみたいなものは健在で、ほっと一息。また、全体的な指向は、 真朱さん自身の仰るとおり、かなり実験的で、そこが面白かったで す。あちこちに色々な方々の影響を見て取れる、というか積極的に 取り入れておられて、何だかひとつ一つのイメージはまちまちなの に、全体的にはちゃんと纏まっているのがとても不可思議。そこに 共通して感じるのは、詩という非現実感に錯誤した世界ではなく、 “血”のイメージを媒介とした生ける近現実感であるような気がし ます。(中略)

正直なところ、僕のおもいは、一本指様の「もう、雲の頂きを、そ の透明な翼で撫でる事ができると思いますよ。」というお言葉と、 じゃすみ様の「「解き放て!」という言葉を、送り(贈り)たい。」 のお言葉が、何よりも端的に代弁して下さっています。

(注:一本指様のお言葉とは、"10月6日一本指さんより"のこと、 じゃすみ様のお言葉とは、"10月7日じゃすみさまより"のことです。)

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