朗読 (ライヴ音源)
妖怪の一本指 * 飯村真朱
■朗読作品:妖怪の一本指「漸くたどりついた国境に飛行場の荒漠を支配しながら」
■朗読場所:下町ポエトリー・リーディング〜その4 in Yukotopia
■朗読月日:2000年4月16日(日)
■ real audio(362kb)
■ 「漸く・・・」のテキスト
詩の朗読には1、2年前から興味を持っていた。意識したのは、
谷川俊太郎さんが『心の旅』というテレビ番組に出た時が最初。
そこには、アメリカだったか、海外を旅して、
ご自分の詩を息子さんのバンドの音楽にのせ朗読する、谷川さんの姿があった。
それはライヴハウスだったり大学の講堂だったり色々で、
詩人との出会いがあったり、現在の詩の現場に触れているナマな感じもあって、
なんだか面白かった。
全く自慢できない話だが、それまで私は、まともに谷川さんの詩を読んだことがなく、
だから、彼の声による彼の詩、それが私にとっての谷川詩の原体験となった。
その時の記憶をここでひっぱり出したのは、
なんてこの人の詩と、この人の読み方、声、間合いは、ぴったりなんだろう。と、
驚きを覚えたからだ。
この人から、その詩が生まれ出てきたことが、こんなにも信じられる、
当たり前のように感じられることのものすごさに、圧倒されたのだ。
その姿は、そよそよと自然だった。
さて、今作品を作者の一本指さんとご一緒に朗読させていただくことに
なったのは、突然降ってわいたような話だった。
私は、一本指さんの朗読、楽しみだなぁ。なんてノホホンと
お客の気分でいたのだ。
出来れば、朗読を聴いてから、テキストを
ご覧くださるといいと思うが、この作品は男声パートと
女声パートがあり、お誘いを受けた時、
これまた、面白いじゃーん。と、好奇心がざわざわと動きだし、
やらせていただきます。と答えてしまっていたのだった。
助っ人役とはいえ、はっきり言って、考えなし。である。
私はステージにあがる。とか、スポットライトを浴びる。といった
ことは大の苦手なのだ。(昔、あがってみて分かった。)
後になって、どうしよう?と思ったが、ひとまず、飛び込んでしまった。
何を感じるのか、何を考えるのか、どんな景色が見えるのか。
を知りたくなった。
私は、声に出して人様の作品を味わうのは悪くないと思っている。
そうして、作者が自身の作品を読む、その読み方を聴いていると、
その人がその作品をどんな風に作っていったのか、どんな風に
感じているのか、呼吸で触れられる気がする。
私達は一緒に練習するといったことはなく、当日顔を合わせ、
挨拶をしてからは、互いに他の人の朗読をゆっくり聴いていた。
Yukotopiaは小さなライヴハウスである。
薄暗く昔の喫茶店みたいな匂いがする。
30人も入れば一杯である。濃密な空気が流れている。
自分がステージにあがってからの記憶は曖昧だ。
緊張していない。と思っていたのだが、
後から聴き返した時には、苦笑いする以外になかった。
声が堅すぎ!途中から持ち直したみたいやけど、
相当ですよ、これは。なんつって。
当日、一発本番での朗読は、面白かった。
次に何がやってくるのか、自分でさえも分からなかったのだ。
隣にいる一本指さんの空気。はなっている声。
間合いをはかりながら、探りを入れる。
横目で見られるわけでもない。
そうして、交差し、のぼっていき、揺れる呼吸。
それは、なかなかにスリリングな体験だった。
間合いをはかっているうちに、あっという間に
終わってしまった感もあり、そのじりじりに心残りもあるのだが、
あの時の肌で感じた空気はとても貴重なものとなった。
お客さんの顔を見る余裕なんて全然なかったけどね。とほほ。
かなり、わたくし、へなちょこぽんちさんだったよ〜。
そりゃ、聴けば分かるか。とほほ。だけど、面白かったし、また機会があれば
やってみたいと思う。一本指さん、有り難う。
聴いてくださった方、どうも有り難う。
11.11.2000
飯村真朱 拝
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