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Cross Blood
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* アクアマゴノリア *
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Poetaster * Masoo Iimura
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呪縛

   
夜な夜な この像を作っています
大きさは 手のひらに乗るくらいで
削っては つけ 削っては つけ
その度に 姿を変えていきます

怒っているの 泣いているの
かなりやめろん が響くのに
キミは アタシが 縛っていると
アタシは キミに 縛られて

優しくなれないから やめましょう
切れない糸が いつしか繭になり
一つになって 生まれ変わっても
半身求め 鑿を突き立てるでしょう

帰る場所は どこにあるのかな
人ごみにまぎれ はじめて安堵して
歌いながら 飛んだり跳ねたりして
ずいぶん 遠くに来てしまったよ

もう戻れない もう戻らない ことの
アタシの心臓を キミにあげましょう
アタシは なにひとつ いりません
お好みの形で 寄り添いましょう

もう充分にウバッテ 奪いつくして
もう充分にサラッテ 浚いつくして
いつしか カラカラ 鳴っていた
キミも アタシも 鳴るだけおもちゃ

どこまでもつづく ひまわり畑で
虫けらみたいに 抱き合ったあの日
世界は 空高く 舞い上がり
めまいがするほど 幸せでした

MASOO 21:47 5.2-9:28 5.11.1998

飯村真朱 初出:えふぽえむ「詩の投稿室」 5/11/98


たったひとつの狼煙が泣く夜には
つくりかけとこわしかけのぼくたちの像
タオル地で色ガラスで貼り付け
ハサミとハンマーはそばに置いて
だれかが落としてくれる好意の迷宮
闇を駈けて また風が吹いているね
 ぼくが あか で
    きみ が きいろ
からから からから からまわり
ずれあう半身は ひといろになって
ことばが 舞い飛ぶ かざぐるま
まるで きみからの メッセージ
ぽえたすたあ 初出:えふぽえむ「呪縛」感想欄 5/11/98


ぽえたすたあさん:錯綜するイメージに触れられて、じわりとしてしまい
ました。そして、かざぐるまが恋しくなりました。いきなりですが、そうしたく
なってしまったので、昔の拙作「かなりやめろん」をもって、ぽえたすたあ
さんへのお返事とかえさせていただきます。投稿作品ではなく「ひとりごと」
やメールも使えないので、この場所に書かせていただく不躾をお詫びします。
今になって、また表に出されるとは、かなりやめろんクンも思って
いなかったでしょう。これも巡り合わせだなぁと感じます。

飯村真朱 初出:えふぽえむ「呪縛」感想欄 5/12/98


かなりやめろん

   
アンドロギュヌスの見た夢は
球体に閉じこめられた 琥珀の門出
背中からソリ孵すうちに 流れ出しては
鳥女につまみ食いされる
歌って歌って この世の果てまで
歌って歌って スポンジになるまで

ケロイド状のヌンチャクは役立たずで
ひゃらひゃらと嗤いながら走り抜ける
大丈夫 心配ないと医者の力づけた
うなづく人形 ベットに横たわり
着せ替えられる 下着は洗う

奇怪な小部屋 とぐろを巻いて
君の口をふさごう 8階の窓は遠い
注射針で入りくんだ 夢中になるまで
似合わない はかなげな なつかしの味覚
目をつむり 考え込むふりをする

胃の腑から立ち上る 甘い香りを 手鏡に写し
変造機の片手で 切り落とす
再形成せよ 間髪入れず 指令は下る
扉の向こうで 網状に絡みつく 無情な皮膚
轟音はやんだ 歌いたまえ かなりやめろん
かそけき無限 讃えたまえ かなりやめろん


MASOO IIMURA 10:48 11.24.1997

飯村真朱 再録:えふぽえむ「呪縛」感想欄 5/12/98


夢球体(かなりやめろんに)

   
きのう届いた温度のない夢
にゅうとらるな涙の きいろい球体
からっぽターキー鳴らして合図
ほら 風折れたツリーに
ゆらゆら揺れる きいろい球体
はしごがないから見上げたそらに
待ちくたびれたきみの髪

幾度もわらう幼女になったきみが
そのくせ つゆくさの 哀しい声 で
きいろの奥底からぼくにウェルカム

透明な旋律の降る髪のはしごの
眠ってるママたちの王国の扉で
なくなったはずの幼児の衣裳
次から次へときみが差し出すから

吸いかけのタバコを消して
こぼれおちる ふしぎなあまさの
めいぷるしろっぷの涙のきみを
追いつづける とおい円還

だれにも いわない きいろい球体
ありあ も かのん も かなりやめろん
吹き荒れたまえ きいろい球体

夢から孵るたび
まあるくなってゆく
巫女のぼく

ぽえたすたあ 初出:えふぽえむ「詩の投稿室」 5/14/98


タイトルに書かれた(かなりやめろんに)というのは、3933.shtml感想欄での
拙作と捉えてもよろしいのでしょうか。「かなりやめろん」は渋澤龍彦さんへの
オマージュとして書きました。拙作の未熟さに加え、私の中でのかなりやめろん
は、いまだ漠としており、きっといつかまた再会する存在なのだと思っています。
ぽえたすたあさんの中には、かなりはっきりとしたビジョンがおありのようで、
もうそれは、ご自身のものなのですね。連作や共作などを含め様々な方法で
色々な方とご一緒させていただく機会がありますが、また別の形で作品が絡み
合っていく体験は新鮮で、非常に面白かったです。このような機会をお与え
くださったことに、深く感謝申し上げます。いつになるか分かりませんが、
「夢球体」に寄せて作品をさしあげられたら・・と考えておりますので、
そのおりには、どうぞご笑覧くださいませ。
                          飯村真朱 拝

飯村真朱 初出:えふぽえむ「夢球体」感想欄 5/15/98


真朱さま:
アンドロギュヌスへのめらんこりぃが
ぼくが生き延びてきたことで失くしてしまった
何か統一とか全体への片想いのれたあだと
したら かなりやめろんという螺旋の果ての
円還が辿る球体も 彼が愛した石のイマージュ
の原型としての哀しい置き手紙なのかもしれませんね
もし あなたの言われるようにどこか同じ匂いが
言の葉の空気を揺らすとしたら それはいつか
ドラコニアの領土で行き違ったことのまぼろしが
震源地かもしれないと感じました

ぽえたすたあ 初出:えふぽえむ「夢球体」感想欄 5/15/98


井薔薇

   
そこは 箱庭 行儀よく駆られ 待っていた
時のおと 開かれた一幕 に 体温の高鳴り
沸騰する氷 ひしゃげ 闇 は 点描に沈む
規則正しく それこその 狂おしい ズレを
孵化したばかりの まなざしで 埋めてゆく
えぐっては 堕とされる 肉球 の 嗤い声
少女達 の 髪なびか せ 躍る よ 躍る

確かにそこに あることの 不確かな結び目
雲まで届く太い幹 金色の影 作ってみせて
繋がれた片足で 猫椅子の上 廻ってみせて
少女達 は 恥じらいで 知る 各々の血潮
光で微笑む 硝子玉へ 泡だった皮膚 から
鱗粉は 撒かれ 抱き合っ て うねり放ち
漕ぎ出した 箱庭 の 誰も いない 白線

MASOO IIMURA 17:53 12.26.1998

飯村真朱 ぽえたすたあさんへの手紙より 12/27/98


はじめて出会った日を覚えている?


ぽえたすたあ こらぼれーしょんのパレット
飯村 真朱  紅色の邂逅

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Cross Blood



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