ザムザ虫

ザムザ虫に紅い羽が生えて

いやしくも目立ってしまったから

おしゃれ心なんてものを身につけ

てかてかに光るポマード塗りつけ

ますます悪臭をふりまきながら

人々の肩先で歯の浮く声で

どろりと粘液を吐き出しては

それぞれの人の一対の耳に

注入し狂わせようと企んで

遺伝子を優性に転換したいと

突然変異をひきおこし恐怖の底に

あなたのザムザ教なる教祖となって

あがめたてまつられますます

薄っぺらにはくをつけ吹き飛ばされ

宇宙旅行に興じたついでに

トッピヤ猫なる紅い羽根の友を得

悠々気取りで喉を撫でて辿り着き

目を逆立ててカジノで大金を使い

皿洗いまでして一かけらのパンで

しわしわになったふやふやの体で

背中の紅い羽をひきちぎっては

質屋で金を借り流れたその品は

化粧の濃い女の胸元を飾り

いつしか複製品まで出回って

空前の流行を産みだしたから

ハンターに追われる身となり

トッピヤ猫との静かな余生を

どうしてくれるんだと憤怒の果てに

はらわたを無軌道に激しく動かし

超絶悶絶肉団子を捻り出しては

やみくもに投げまくり倒しに倒して

紅い羽を根こそぎごっそり抜いて

あべこべに燃やして煤けた背中で

とぼとぼと歩いていたところ

トッピヤ猫が泣きながら己の肉を吸い

紅い羽根だけの骸になると

みずみずしく潤いたたえた羽根が

ザムザ虫の背中に追いすがり

ザムザ虫に紅い羽が生えて

いやしくも目立ってしまったから

MASOO IIMURA  6:18 4.2.1998

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